かなり濃い液体の色はほとんど黒と言っても良いほど。
微かに紫も少し溶け込んでいるようにも見えるという程度の中心。
狭いフチには赤紫色が。
まだまだ若い印象。
トロリとした様子が見て取れるワインはグラスを回すと内側に張り付いて、
細い筋をつくって垂れ落ちて、濃縮された雰囲気を表現。
グラスを立てて覗き込んでも底まで見透かす事が出来ないくらいの隙間のない色付き。
香りの立ち上り方は激しいくらい。
真っ先に、強めに漂ってくるのが、完熟した果物を濃縮したような甘い香り。
カシスリキュールやプルーン。さらに、乾燥した土地を想わせるような、ドライハーブや
ドライフラワー、黒コショウ、ペパーミントや樽からの燻したような、コーヒー豆やシナモン。
あと、モナストレルの持つ香りなのか、革製品やビーフジャーキー、鉄サビ。
シラーの特徴、インクなど。
たっぷり濃厚だけど単調さを全然感じない、続々と現れる、複雑で魅力的な香り成分。
熟成樽には、フレンチオーク85%、アメリカンオーク15%使用との事。
小粒の赤い果実のようなやや強めの酸味が広がる意外なほど爽快な口当たり。
甘みはほのかに酸味の強さにキレイに隠されてしまうほど控えめ。
雑誌「リアルワインガイド」で紹介してた2008年ヴィンテージの「セイン」は
もっと甘くてやわらかいというような紹介のされ方だったけれど、2009年のこちらは
若々しい酸味が中心。
その後、舌の上で落ち着くとまばらな感じがしていた香味が一気に集中。
たっぷりと詰まった、ずっしりと重みのある凝縮した果実味に。
ヨーグルトにジャムを混ぜたような、
やわらかい酸味に包み込まれた滑らかな果実感で満たされる口の中。
さらに、凝縮果実的な、甘くてやわらかい風味と、樽熟的な、強めの焦げ風味が広がる飲み口の後半。
アルコールのボリューム充分の明らかなフルボディ。
口の中の隅々に張り付くような、目の詰まった渋味成分。
この渋味には甘い味つけがあって、練り上げられたような、
とろりとした舌触りがあって。厚みが加わって飲み口がさらに充実。
飲み込んだ後には口に張り付いて離れない渋味とコーヒーの焦げ苦味、
強めの酸味をはっきりと残す、ものスゴい持続力の後味。
元気でパワフルだけど、単なる濃旨ではなくて、
酸味とほろ苦味と渋味が上手にまとまる、バランスよく飲ませてくれるとても質の高い一本。
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